からだを温めるとなぜ病気が治るか
『からだを温めるとなぜ病気が治るか HSPが元気をつくる』書評
イシハラクリニック院長/医学博士 石原結實
愛知医科大学医学部助教授(現修文大学教授)/医学博士 伊藤要子
□批評
ベストセラー『体を温めると病気は必ず治る』の著者石原氏と現役の医大准教授の伊藤先生との対談形式の本である。内容を一行でまとめると『ヒートショックプロテイン(HSP)は全ての細胞にあり、熱ストレスを加えることにより活性化する分子シャペロン(細胞内のたんぱく質の働きを正常にする)であるから、身体を温めると健康に良い』ということになる。全体としてみれば、一般の方にもわかりやすく、悪くない内容である。伊藤先生は流石現役の研究者だけあって、医学的な知見と研究成果をわかりやすく説明されている。それに対して、石原氏は本当に医師免許を所持しているのかも怪しいほど、的はずれな素人丸出しの妄想を羅列している。本書発刊時58歳だったから仕方ないと言えばそうだが、医師ならば自分の発現に責任をもってほしいものである。医師免許更新制にしたほうが良いのではないだろうか。年寄り医師だからといって何を言っても許されるわけではない。同じ医師として恥ずかしい。石原氏の部分は全部読み飛ばしてもいいくらい、内容がない。石原氏の妄想を全て、医学的事実に訂正しようとしたが・・・あまりにも膨大でキリがないので、一点だけ以下に述べる。
■心臓と脾臓は体温がたかいため、ガンはできない → ×思い込み
『ともかくも、体温の高いこの2ヶ所にガンはできない。だから、ガンの増加は、やっぱり体温の低下が原因だと思います。』本書35ページ。
癌とは、上皮細胞が悪性化し、異常増殖したものを指し、それ以外の細胞が悪性化したものは肉腫といいます。心臓や脾臓には上皮細胞が存在しないため、心臓癌や脾臓癌は存在しません。勿論、肉腫は起こりえます。心臓では、心膜中皮腫、横紋筋肉腫、リンパ腫、転移性心腫瘍、脾臓では、悪性リンパ腫、血管肉腫など。
確かに心臓と脾臓に癌は出来ないが、その原因が腎臓と脾臓に上皮が無いということすら知らないとは恐ろしいものである。やはり医師免許更新性にした方がいいのではないだろうか。
□概要
体が温まると
・血管が拡張して血流が良くなる
・腎機能が良くなり排尿が促進し、むくみが改善し、血圧が下がる
・糖や脂肪の燃焼も促され、高血糖や高脂血症も改善する
・免疫能を司る白血球の働きが良くなり、風邪や気管支炎、アレルギーにも良い
・ 体温が1℃低下すると免疫力は30%以上低下する
HSP(Heat Shock Protein)は
・体に熱という衝撃が加わることにより作り出されるたんぱく質
・60兆個すべての細胞に含まれる。
・たんぱく質の新生、修復、再生、廃棄処理などを行い、細胞自身を強く健康にする。
・どんな蛋白でも異常を見つけ、修復するか、廃棄して正常を保つ。
・熱ストレスだけでなく、披露、観戦、梗塞、虚血、紫外線などあらゆるストレスで増加する。
・人だけでなくどんな生物、細菌、植物などでも持っている。
・分子シャペロン(変性蛋白に結合し、天然状態蛋白になるのを助ける)である。
・フォールディングの補助だけでなく、蛋白の品質管理も担う。
・温熱療法で治療中の患者で、諦めると、HSPは低下する。
・蓄積熱はHSPは相関する。
・温熱療法のマイルド加温により、全身の正常細胞にHSPを高め、正常細胞を抗がん剤の障害から守ってあげている。
がん細胞は
・35℃で最も増殖し、39.6℃以上になると死滅する。
・細胞は43℃以上の高い温度で死滅する。
その他
・医師は40年前の13万人から、10年前の27万人と2倍に増えている。
・50年前には36.8℃の平均体温を持つ日本人→今では36.0℃。
・低体温が増えた原因は筋肉運動の低下。昔の日本人はもっと歩いていた。